第270話 何かあるかな?

 目を大きく見開いて、くっつくようにして聞いて来る裕太

を見て、ジュンペイは嬉しくて、思わず顔がにやけてしまう。

「隠し階段がね、ある部屋の暖炉の奥にあったんだ」

ポンとそっけなく、ジュンペイが言うと、裕太の方を見る。

「えっ、それって、ホント?」

暖炉の奥だなんて…

煤だらけにならないだろうか?

それよりも、狭くないだろうか?

一体、そんな所…のぞく人がいるのだろうか?

そもそも、巨人が入れるのだろうか?

(1名、ここに、その物好きがいるけど…)

何となく、それってホントかなぁ~と疑う裕太なのだが…

打ち明けるジュンペイの顏は、あくまでも真面目そのものだ。

ホントなのかなぁ…

だが、信じるしかないのだ。

(なるほど、そうなのか。

 それを探していて、時間がかかったのか…)


 もっとも自分たちもさっきまで、洗面台に上がるのに、かなり

手間取っていたから、それもあり得るか…と思う。

「それじゃあ、そこに、何かがあるのかも?」

分かりやすく、目を輝かせる裕太に、ジュンペイはニヤニヤしている。

「で、その階段は、どこにあるの?」

2人で手分けをして、探していたといっても、ジュンペイはよく

見つけられたなぁ~

裕太は素直に、感心した。

「へへっ、それは、これから行くから、すぐにわかるよ」

 なぜだかもったいぶった顔つきで、ジュンペイは詳しくは教えてくれない。

「どこかで、ジャックが聞いているかもしれないしな!」

ふいに声をひそめた。

(ジュンペイ…まだ、根にもっているのか?)

 よっぽどジャックに、出し抜かれたのが悔しいらしい。

「え~っ、なんでだよぉ」

裕太のリアクションに、ジュンペイはとても気をよくしている。

「だってさ、あのドロボーに、これ以上盗まれたら、かなわないからな!」

ジュンペイは、ニヤッと笑ってみせた。


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