第271話 すべてがデッカイ巨人の館

「いいから、来いよ!」

 すぐに機嫌を取り戻したのか、ジュンペイはヒラリと身を

ひるがえす。

「たまたま入った部屋で、見つけたんだ!」

いかにも嬉しそうに、スキップするようにして、先を進む。

置いて行かれまい、と裕太はあわてて、廊下へと飛び出した。


 相変わらず、天井の高い家だ。

何メートルあるのだろう?

先の方が、よく見えない。

さらに、かなり長い廊下だ。

よくこんな所で、見つけたなぁ~

裕太は感心する。

「ここ、ほとんどの部屋が、使っていないみたいなんだ!」

時折裕太が後ろをついて来ているかを、確かめながら、

ジュンペイは振り向きつつ、声をかける。

「だからね!鍵がかかっている所は、面倒だからのぞいていないんだ」

ピョンピョンと跳ねるようにして、振り返り振り返りジュンペイが言う。

その割には、ちっとも彼の息が上がっていない…と裕太は気付いた。


 むしろその逆だ。

いつもの元気が、戻ってきたみたいだ。

「本当はね!ぜーんぶ、見てみたいんだけど…時間もないしねぇ」

ジュンペイの言葉を聞いて、あれ?と裕太は気付く。

そう言われれば、弁当を作ると言って、別れたマーサが、まだ

何も言ってきてはいない。

それって、どうしたのだろうか?

(おかしいなぁ~)

まさか…忘れたのだろうか?

それとも何か、あったのかなぁ?

裕太はふと気になった。

 だがジュンペイは、裕太の戸惑いには、気付かないようで、

「それがさぁ、すごいんだ!」

相変わらず、まだ興奮の冷めやらぬ様子だ。

「たまたま入った部屋なんだけど…

 すべてがデッカイんだ!

 ここの巨人って、案外派手好きなのかなぁ?

 とにかくもうすごくて…

 見ててねぇ、とっても楽しくてさぁ!」

目をキラキラさせて、嬉しそうに言う。

(ホント、ジュンペイは…こういうのが好きなんだなぁ)

裕太は呆れた顔をした。

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