第191話 それは、魔法の扉?

(どんどんデッカクなってるの?)

 ショーンの言葉が、裕太の耳に引っかかる。

だけども、ジュンペイはというと、そんなことよりも、

すっかりトオの魔力に取り付かれている。

「やったぁ~」

手放しの喜びようだ。

まさか、水を差すわけにもいかず…

(しかたがないなぁ)

裕太はひそかに、苦笑いをした。


 もちろん、そんなことを気にするジュンペイではない。

「やったぁ~!

 行こう、行こう!」

ピョンピョンと跳ねる。

(だから、静かに喜べってば!)

 どうしてコイツは、気にしないんだろう?

呆れる裕太だけれど、むしろそれが、アイツらしいんだろうなぁ~

と、困った顔になる。

「ねぇ、あのツルのトコ!わかる?」

 早速ジュンペイが、裕太の手のひらにある、道しるべの石に

向かって、話しかける。

すると(わかりました)と返事をするように、ポゥッとオレンジ色

に光ると、フワリと浮かびあがった。


「あっ、わかるって!

 さぁ、ついて行こうよ!」

もう、待ちきれない様子で、ジュンペイはせかすように、

裕太の腕を引っ張る。

「確か…ここに来た時に、このすぐ上の階に、ツルが垂れ下がっている

 のを、見かけたよ!」

裕太も思い出して言う。

「じゃあ、この近くか?」

 やったじゃん!

ジュンペイが手を打ち鳴らすのを、

「いや」と裕太はあわてて引き留める。

「でもね、ツルって、すごく成長が早いんだって。

 だから、それよりも上の方だと思うよ」

じいちゃんが、前に言ってた…と裕太が話す。

「それもそうだな」

ショーンもうなづいた。


「あっ!」

 ジュンペイが、何かに気が付いた。

「あれ」

まっすぐに指差すのを、裕太もつられて振り返ると…

さっきまで、何もなかった場所に、再びボゥッと大きな扉が

現れた。

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