第401話 交換条件?

「交換条件?」

「そう、出血大サービスだ!」

 調子よく言う女の人に向かって、裕太は柵に手をかける。

「はっ?どこが?」

ワナにかけられて、自分たちを解放する代わりに、何かしろって

言うのは、虫が良すぎるだろ?

ジュンペイはまだ、攻撃的に身がまえている。

ポケットに手を突っ込み、たまたま触れたパチンコ玉を握りしめると、

何かいい得物がないか…と、目で探している。

 

 だが、その大柄な女の人は、まったく平然とした態度で…

「ま、イヤなら、いいけど」

じらすように、裕太を見る。

「何だよ、ズルいぞ!」

ガシャガシャと、ジュンペイは檻を揺らす。

「まるで、サルだな」

ハッ!

女の人は冷ややかに笑うと、裕太にチラリと視線を向ける。

「キミと、その竜は…出してやろう。その代わり…」

思わせぶりに、口をつぐむ。


「その代わり?」

「なんだよ!」

 もったいぶらずに、話せよ!

ジュンペイは、イライラと貧乏ゆすりをしている。

「そうだな」

女の人は、ジロッとジュンペイを見ると、

「ショーンを差し出せ」

脅すような口調で、裕太に向かう。

「ショーン?」

なんで、ショーン?

裕太をポカンと、口を開ける。

(ショーンって、やっぱりスゴいのか?)

だがジュンペイは、

「そんなの…出来るわけ、ないだろ?

 それに…今、ここにはいない」

だから、この話はおしまい!と、怒ったように言った。

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