第400話 絶体絶命!

「いいから、ここから出せよ!

 未成年誘拐で、逮捕されるぞ」

 ジュンペイが、その女に向かって吠える。

それは、違うだろ?

思わず裕太が、頭をかかえる。

「ほぉ~」

女はニヤニヤとする。

しきりと、やかましく騒ぎたてる子供と、

じぃっと哀願するように、見上げる子供。

「まぁ、助けてやらないこともない」

キッパリとそう言うと、

「ほぉら、来た!」

やったぜ!

得意そうに、ジュンペイが柵をガシャガシャと揺らす。

「だけどな、ただ、という訳にはいかないよな」

(ほら、来た!)

ジュンペイは、目をランランと光らせる。

ふん、と鼻を鳴らすと

「結局は、大人ってそうなんだよな。

 いっつも、何かかんか理由をつけて…

 ズルいんだよな」

噛みつくようにして言う。

(おいおい、相手を怒らせて、どうするんだよぉ)

「ほら、今に始まったわけじゃないだろ?」

裕太はなだめるようにして、言う。

「ふぅーん。キミは、中々賢い子のようだな。

 見どころがあるぞ」

その女の人は、裕太のことを興味深そうに見下ろす。


 それにしても、この人は、どのくらいあるのだろう?

身長が二メートル近くあるのではないだろうか?

(まるで、巨人だ…もっとも、マーサには負けるけどな)

裕太は口をポカンと開けて、その人を見上げる。

「まぁいい。キミたちが、交換条件を飲む、と言うのなら

 解放してあげよう」

女の人は、余裕のある笑みを浮かべて、裕太たちを見た。


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