第436話 逃げろ!

「そうだ、そうしろ」

 ファルコンの声だけが、裕太の頭に響く。

「ファルコン、ちょっと大丈夫?

 フェニックスは?」

傍から見ると、裕太がぶつぶつと、独り言を言っているように見える。

「えっ、ファルコンだって?どこ、どこ?」

裕太の言葉を耳にして、ジュンペイもキョロキョロと頭を動かす。

だが、その問いには答えず、そのままファルコンの声が途絶えた。

「あっ…」

落胆する裕太なのだが…

ただ気になるのは、彼らが無事か、ということだった。


「いいから、早く!」

 ショーンは先ほどから、天井のことを気にしている。

こうなったら、ここがペシャンコになるのは…時間の問題だ。

せかすようにして、裕太とジュンペイを抱えるようにして、鳥かごの

中に放り込もうとする。

「でも…こんな所にいて、かえって危ないんじゃあないの?」

ジュンペイが足を踏ん張って、抗議するように言う。

「大丈夫だ。その中なら、バリアが張ってあるから、少々のことは

 耐えるだろう」

時間稼ぎになる…

ショーンの声がした。


「いいから、頭を下げろ」

 カシャンと、鳥かごの扉を閉めると…

不思議なことに、急にシンと静かになった。

「えっ?どうなっているの?」

まるでシェルターの中に、入っているような安心感だ。

(一体、どうなっているんだ?)

柵越しに、部屋の様子が見える。

ただ違うのは…先ほどフェニックスが出て行った痕跡で、天井から

空が見えていることだけだ…

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