第437話 七色の卵

 戦いの名残りのように…天井にはポッカリと、穴があいている。

何があったのか、にわかには理解が出来なかった。

だが…ガイコツの姿も、ファルコンの姿さえも、もうどこにも

見えない。

ただ、ジュンペイの手の中で、あの卵がまるでスパンコールをまぶして

いるみたいに、キラキラと光り輝いている。

何気なく、ひょいっと持ち上げると…

先ほど感じた、あのズシッとくる重たさが、もうない。

「へっ?」

なんだ、これ?

キツネにつままれたような気がして、驚いて再び持ち上げる。

透き通った卵の中に、虹のような光が映って、乱反射していた。


「それが…カギだ」

 ショーンは真剣なまなざしで、二人に告げる。

「カギ?」

「これが?」

これって、ただの石じゃないかぁ~

裕太は、そう思う。

さっきまでは、ダチョウの卵か?とか、

フェニックスの卵か?とか、あれこれ思っていたけれど、今見ると

まるで卵の形の宝石のような…

卵型の水晶?が、ジュンペイの手の中に、すっぽりと納まっている。

「さぁ…鍵穴に、それを置くんだ」

静かな声で、ショーンが言う。

「カギアナ?」

どこにあるんだ?そんなもの…

裕太とジュンペイが、頭をひねる。

「とにかく、あるはずだ。

 よく探してみるんだ」

ショーンは、一歩身体を引いた形で、二人の様子を見守った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る