第174話 魔法のカード?

 サキアさんに注意され、仕方がないので、裕太はぎゅっと

口を引き結ぶと、黙ったまま、サキアさんの占い終わるのを

待っていた。

「ふーん、なるほど」

 パラパラと、カードを1枚1枚めくっていく。

時折フムフムとうなづきつつ、

「あなたって…いつも何かに、突進していくタイプなのねぇ」

そう言うと、1枚のカードをジュンペイに見せた。

それは剣を持って、鎧を身に着けた男のカードだった。

「はぁ」

言わずもがなな結果なのだが、確かにそうなのかもしれない…

本人も思い当たるようだ。

「トラブルが向こうから、飛び込んでくる…というよりは、あなたが

 常に、何かと戦っている勇者なのね」

はいっとそれを、ジュンペイに差し出す。

「へっ?」

いきなりカードを差し出されても…

どうすれば、いいの?

「これ、もらってもいいの?」

落ち着きなく、目をキョロキョロさせる。

 サキアさんは、うんとうなづくと、

「それはね、あなたのお守りになるわよ。

 だから、常に持っていて」

ギュッとジュンペイの手にのせると、上から握りしめ、ニッと笑う。

「お守り?」

ジュンペイが嬉しそうに、そのカードを押し頂くようにして

受け取る。

「これ…カードゲームに、使えるかなぁ?」

あろうことか、サキアさんに聞く。

「はっ?」

バカだなぁ~

無理に決まってるだろ?

それなら、自分はどうなのだろう…

裕太は落ち着かない気持ちになった。

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