第366話  秘密兵器?

 すると、それまで腕組みをして、我関せず…というスタンスで、

見守っていたサキアさんが、

「ショーン、これを!」

何かを放り投げる。

ヒュン!

放物線を描いて、何か細いものがキラリと光る。

反射的にショーンが、フワッと浮かび上がると、パシッと見事に

受け止める。

それからショーンは、真っすぐにシェーラの方を、挑むように

見詰めると

「よぉーし、いい子だ。

 シェーラ、これをよく見て!」

注意を引くような仕草をする。

彼をにらみつけていたシェーラは、

「なんだ?」

けげんそうな顔で、彼を見る。


 ショーンはまず、左手を開き、親指を立てる。

何か始まるのか、と気になったのか、シェーラも黙って見ている。

そうして彼は、右手に握っていたものを、高くかざすと…

大きく振り回す。

ビュン!

勢いよく、何かが宙に飛び出す。

それは…金属の円盤のようなものだ。

(一体、いつの間に、これを?)

サキアさんは、何も持っていないように見えたのに?

ピーッ!

ショーンは指を唇に当てると、指笛を吹く。

シェーラは反射的に、パッと身がまえると、そのまま飛び出していく。

ヒュン!

真っすぐに、飛んで行ったディスクを、フリスビーのように、ピョンと

飛び付くと、シェーラは迷いなく口にくわえる。


 その様は、やはり猟犬の身のこなしだ。

確かに、彼女はサキアさんの犬だったのだ。

振り向いて、得意そうにサキアさんに見せようとしたシェーラに、突然

異変が現れた。



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