第334話 あれは…

「うわぁ~あれは、何?」

「あれって…門?」

 祭壇の床からニョキニョキと現れた柱に、2人は興奮のるつぼだ。

「ね、どうなっているの?

 おまえ、何かしたか?」

ぐぃっと、裕太の前に顔を突き出して、ジュンペイが聞く、

「そんなの、するわけがないだろ?」

見ていたくせに…

ボクだって、知りたいよ、と裕太もそう思う。

 だが、その返事を言い終わらぬうちに、

「ひゃっほぉ~!」

ジュンペイがひと声叫んで、ダッシュで駆け出す。

その変わり身の速さに、裕太も呆気にとられる。

柱にポンポンと触ると

「うん、本物の石だ」

一人で感心したように、ジュンペイは騒いでいる。

「そんなの、当たり前だろ!」

裕太は冷ややかな目をして、ジュンペイを見ている。


 本当は、裕太だって、ジュンペイのようにはしゃぎたいのだ。

同じように柱にさわって、観察してみたいのだ。

(でも…)

まっすぐに、前を向く。

裕太の視線の先には、見覚えのあるシルエットがたたずんでる。

「うわっ、すごーい!」

柱にぶら下がって、はしゃぐジュンペイをそのままに、

ゆっくりと裕太は、その新しい門をくぐり抜ける。

門の向こうの可愛らしいカラフルな家の前で、ドラゴンのファルコンと、

バードマンのショーンが、こちらを向いて立っていた。

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