第335話 待ち人現る

「やぁ!」

 ショーンが軽く手を上げる。

「なんで、ついて来なかったの?」

両手を頬に当てて、裕太は声をかける。

「ちょっと、遅かったなぁ~

 待ちくたびれて、寝るところだったぞ」

腕組みをして、ショーンが立っていた。

「だって、巨人の家なんだぞぉ」

そんな簡単には、いかないよぉ~

ムチャ言うなよぉ。

おもむろに、後ろを振り返る。

「それにしても…結構、派手にやったみたいだな」

さらに下を見下ろすと…

いつの間にか、豆の木はきれいになくなり、巨人の家も

見えなくなっていた。

「ねぇ~これって、一体どういうカラクリになっているの?」

裕太はまだ、実感が湧かず、ポカンとしたままだ。

「それにしても、何でここにいるの?」

あまりにも…出来過ぎた、マンガチックな展開に、裕太の頭が

ついていかない。


はは!

ショーンが笑う。

「何を言っているんだよ。約束しただろ?」

もう忘れたのか、とポンポンと裕太の頭を軽く小突く。

「まぁ、そうなんだけど…」

そう言いながらも、ふと疑問がよぎる。

トオの中は一緒だったのに、何で巨人の家には、ついて来なかったのだろう?

奇妙に感じる。

するとショーンは、ニヤリと笑って

「そりゃあ、決まってるだろ?

 ボクたちは、このトオには参加の登録をしていないのだから!」

何とも、単純明快な答えを、裕太とジュンペイに提示した。

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