第336話 七色の印

 ショーンの言葉に、裕太はポカンとする。

「えっ、なに?」

何のことだか、わからない。

だがショーンは、

「何を言っているんだ」と澄ました顔をして、

「だって、キミたち…サキアさんに印をつけてもらっただろ?」

キッパリと言い切る。

「はっ?」

「しるしぃ~?」

何のこと?と、裕太とジュンペイは、互いの顔を見合わせる。

「印って、なんだ?」

だがまったく平然とした顔で、ショーンの視線が裕太の腕に注がれる。

「えっ?」

なになに、と互いの腕を見せあいこをして…

「どれ?」

「あっ、もしかして!」

思い当たるのは、たった一つ。

ジュンペイは、裕太の腕に触れる。

「これ?」

確かに裕太の腕に、くっきりと、七色に光る模様が浮き出ている。

「えっ、シール?」

「ちがうよ、スタンプだよ」

ちょっと、見せろよ、とジュンペイの腕をまくり上げると、やはり同じ

ように模様が光っていた。


「あれぇ?」

 そういえば、この模様…どこかで見たことがある?

ふいに、裕太の頭に、何かがかすめる。

確か…トオに飛び移る前に見た、地下神殿の龍神様のマークだ…

「でも…あのスタンプ、こんな形だったっけ?」

あの時は、金色に光っていて、まぶしくてよく見えなかったのだが…

「そうなんじゃあないの?」

ジュンペイもあらためて、自分の腕をしげしげと見ている。

(驚かないのか?)

もしかしたら、このスタンプ…場所が変わるたびに、色とか模様が

変化するのかもしれないなぁ…

裕太はボンヤリと、そう思った。

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