第349話 不思議な力

 ブワッと風を感じる。

ファルコンは勢いよく、宙を泳ぐ。

何も言わないけれども、ファルコンが裕太のことを、

心配しているのが、何となく体から伝わってくる。

裕太は首にかじりつくようにして、ファルコンにしがみつく。


 シェーラと鳥かごは、あっという間にトオの中に飛び込んで行き…

すでに姿が見えなくなっていた。

(ジュンペイ…大丈夫か?待っていろよ!)

それにしても…あのカマドの中に、鳥かごが仕込んであった、という

ことなのか?

そこまでは、見抜けなかったのは、自分たちのミスだ…

裕太は自分を責めていた。

 シェーラの持つ大きな鳥かごに、確かに男の子の姿が見えたような

気がしていた。

どうやって、助け出せばいいのだろう?

裕太はその辺も、気になるけれど…

とにかく探すのが、先決だ!

ファルコンの背中で、そんなことを考えていた。


(大丈夫だよ)

 なぜか声が聞こえる。

「えっ、だれ?」

裕太は相手を探すけれど、自分とファルコン以外、誰もいない。

(まさか…ファルコン?)

それとも、気のせいなのか?

裕太は思わず、顏を上げた。

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