第78話 目立ちすぎてはいないか、ドラゴン君!

「ありがとう」

 ショーンが代わりに、マリさんに礼を言うと

「いいえ、どういたしまして!」

彼女は目を細めた。

「それにしても…ずいぶん、立派なドラゴンね」

惚れ惚れとするように、マリさんが竜を見つめると、

何だか照れたように、竜はそっぽを向いた。

「恥ずかしいんだってさ」

ショーンがニコニコして言うと

「でも、彼を連れていると、ちょっと目立つかもねぇ」

遠慮がちに、マリさんは声のトーンを落とす。

「一発で、見つかるね」

「あっ、そういうことなら、ご心配なく!」

なぜだかショーンは、ズボンのポケットに手を突っ込む。

「大丈夫!これに入れるから」

いきなりガチョウの卵のような、白い塊をファルコン目掛けて

投げつける。

「あっ、割れちゃうよ!」

ポカンとして、ジュンペイが見ていると…見事にパカンと

卵が真っ二つに割れて、その中に竜が吸い込まれていった。

(えっ、まさかこれって、かの有名なモンスターボール?)

思わずジュンペイは、そう思う。

正確には、モンスターボールではないけれど、ショーンの手には、

大きなガチョウの卵が、ピタンと元通りの形にくっついて、

手の平におさまっている。


「えっ、なにこれ!」

 さすがのマリさんも、驚いたようで、目を丸くする。

「これ?

 これは…竜の卵だよ」

「はっ?」

孫悟空の壺なのか、

はたまた、ポケットモンスターなのか?

思わずジュンペイは、ケラケラと笑う。

(なんだよぉ~パクリじゃないかぁ)

だがショーンは、大真面目な顔をして、

「そうそう」と言うと、ジュンペイに向き直る。

(えっ、今度はなに?)

思わず身がまえた。

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