第79話 いよいよミスターとの対決か?

「どうした?」

 ジュンペイの及び腰な様子を見て、思わずショーンが苦笑する。

「そんなに怖がらなくても、大丈夫だよ」

「でも…」

警戒するジュンペイに、彼はニッと笑ってみせる。

そして首にかけていた、革ひもをはずす。

「大丈夫だよ!何かあったら、これ…」

スッとジュンペイに、手を突き出す。

「なに?」

思ったよりも、節くれだったゴツい指先をパッと開くと、

その中には、土で出来た物体があった。

「これって…笛?」

なんだ、とジュンペイはショーンを見る。

「もしも何かあったら、これを吹いてくれ。

 すぐに、駆け付けるから」

ぐぃっと手のひらを、突き出す。


「これって…普通の笛?」

 パッと見は、普通のホィッスルとは違うようだ。

しかも、見たことのない材質だ。

鉱物が混じっているのか、微妙な光りを放っている。

「これはね、犬笛だよ。

 肌身離さず、持っていてくれ」

「えっ、ボクに渡したら…困るんじゃないの?」

おそらく使い込んでいるのか、飴色に光っている。

「キミは、ドクターに狙われている。

 それに、ボクには、これ!」

ポンポンと、ファルコンの卵が入った布の袋をたたく。

「大丈夫だよ」

自信満々に言いきると…ジュンペイの首に、フワッとかけた。

 首元には、まだショーンの肌のぬくもりが、ほんのりと

感じられる。

「ありがとう」

はにかむように、ジュンペイは言葉少なめに言うと

「よかったわね」

ポンとマリさんが、ジュンペイの頭に手を置く。

「でもね、使わずに済んだら、それでいいじゃない」

ニッコリと微笑むと、マリさんは静かに言う。

「さぁ、今度はキミの番だな!」

ショーンもパンと、ジュンペイの背中をたたく。

ジュンペイは「うん」とうなづくと、

「さぁ、行こう!」

ショーンに向かって、ブイサインをした。



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