第77話 ドラゴンと少年

「危ないから、よした方がいいよ!

 ファルコンは、ボク以外には、なつかないんだ」

 ショーンがマリさんを止めると、

「ホントに、そうかしら?」

手を出したまま、平気な顔をして、マリさんが言う。

(えっ、大丈夫なのか?)

嚙みつかれるとこなど、見たくはないぞ…

ジュンペイがそう思っていると、

「大丈夫!私はあなたに、何もしないわ」

まったく動ずることなく、マリさんは平然とした顔で、

竜の背中をすぅっと撫でた。

 

 最初は牙をむき、うなっていた竜も…疲れたのか、それとも

慣れてきたのか、何も抵抗しなくなってきた。

(あっ、もしかして?)

期待のこもったまなざしを向けると…マリさんの手が、ゆっくりと

竜の首元の鎖に、手を触れた…

 すると竜は、穏やかな顔になり、軽く目をとじる。

(一体、どうなっているんだ?)

ポカンとして、ジュンペイがその様子を見守っていると…

まるで猫のように、ゴロゴロと喉を鳴らして、竜は彼女に

甘えるように身をゆだねる。

「そう…とても賢いわ」

そうつぶやくと、マリさんはさらに鎖の南京錠に手を触れる。

今度はポワンと白く光ると、スルリと竜の首から、下に

滑り落ちた。

カシャンと音を立てて、床に落ちると…

竜はブルルンと、頭を振った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る