第76話 キミの名は?
「ファルコン…おまえ、ここにいたのか?」
そぅっとショーンが、近付く。
「ボクだよ、いい子だ…」
ショーンはそぅっと手を伸ばすと、その生き物に
手をすべらせる。
(なんだ?あれは…まさか、竜?)
ポワンとオレンジ色の光に、浮き出てきたのは…
全長7メートルくらいは、あろうかと思われる、長い胴体を
持つ竜だった。
(竜って…伝説の動物なんじゃないの?)
なるべく身体を遠ざけるようにして、ジュンペイは
おそるおそる見ている。
すると壁を探っていたマリさんが、電源を見付けたらしく、
カチリと音がすると…
いきなりパッと、部屋の中の様子が、クリアに目に飛び込んで
きた。
「うわっ!」
ジュンペイが、思わず声を上げる。
「しぃっ!彼が気を悪くするだろ?」
すぐさまショーンが、ジュンペイに鋭い声を投げかける。
そうは言われても…あまりに驚いたので、何と言ったらいいのか
わからずに、自分の手で口をふさいだ。
「ファルコン、お待たせ!迎えに来たよ」
よく見ると、竜の首元に、長くて太い鎖が、グルグル巻きにして
からまっている。
そのせいで、閉じ込められたのか?
「待ってて!すぐに取ってやるから」
そう言うと、ねじれた鎖をほどこうと、ショーンは手を伸ばした。
「貸して」
背後から、マリさんの声がかかる。
(えっ、近寄っても、大丈夫か?)
不安に思うジュンペイだ。
案の定、竜は彼女に向かって、うなり声をあげて、威嚇する。
「あら、何を警戒しているの?
大丈夫、何も悪いことはしないわよ」
果敢にも、マリさんはまったくおびえることなく、ファルコンの
鼻先をすぅっと撫でた。
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