第249話 ジャックと裕太

「おっ、おぉ~」

 見た目がヒョロヒョロともやしみたいなのに、案外ジャックは

力持ちなんだ…

裕太は目を見張る。

そんな裕太に向かって、

「で、これをどうするの?」

ケロッとした顔で、ジャックが聞く。

「えっ」

だがすぐに気を取り直すと、

「それをあっちに」

光りの射す方を指差す。

「あっち?」

裕太はうん、とうなづく。

「あそこに上がるために、立てかけるんだ」

「あぁ、なるほど」

上を見上げると、ジャックはニンマリとして笑い、グイグイと

押して行く。

(ホント、力持ちなんだなぁ)

感心する裕太に向かって、ジャックは声を放つ。

「ハシゴにするんだな?」

ツルツルすべる床を、驚くほど早く、ジャックは押して進む。

「あっ!」

いきなり何かを思い付いたように、ジャックという男の子は、

ピタリと立ち止まった。


「あのさぁ~これ」

 何か思うところがあるのか、棒の先端を見つめる。

「あれを下にしたら、進まないかなぁ?」

「あれ?」

 あれって、なに?

裕太はジャックの真似をして、上を見上げる。

「あれだよ!」

棒の先についているものを、指差した。


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