第248話 ボクは、ジャック!

「人間は、ボクたちだけだと思っていたのに…」

 裕太はまるで、幽霊を見るように、その子を見て、ひどく

ドキドキした。

「そんなに、驚かなくてもいいよ!」

少年は、ニャニヤしながら、裕太に近付くと、

「ボクはジャック!

 今、巨人に追われているんだ」

裕太に向かって、笑いかける。

「ね、知ってる?」

裕太の顔を、意味あり気に見つめた。


 ジャック?

 ジャックって、あのジャック?

マーサが言っていた、とんでもない男の子か?

「えっ」

そもそもあれは…童話の中の人物ではないのか?

「ホントに、本物のジャック?」

半信半疑の目を向けた。

「もちろん、いるよぉ~」

幽霊なんかじゃ、ないよぉ~

彼はニヤニヤしながら、

「ねぇ、大丈夫?」

裕太を下から、のぞき込む。

「大丈夫だよ、大丈夫!」

やけに自信たっぷりに、そう言うと、ジャックはふいに、

ぴょんと飛び跳ねる。

「ねぇ、そっちに行ってもいい?」

いきなりひと声上げる。

そうして裕太の返事を待つことなく、

「よっ!」と跳ねるようにして、こちらに駆け寄って来た。


「ねぇ~何やってるの?」

 裕太の持つデッカイ棒に、目を向ける。

「何って…見たら、わかるだろ?」

そう話している間も、重たい棒を持つ手が震える。

「あ~もう、危ないなぁ!」

ジャックは、裕太の側に近付くと

「よいしょ!」と持ち上げた。

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