第226話 ようこそ、鶏小屋へ!

 向こうの方には、カラフルな屋根が、チラリと見えている。

「へぇ~鶏小屋にしては、ずいぶん豪華だなぁ」

もしかして、ボクたちが、住めるんじゃないか?

ジュンペイは、羨ましそうに言う。

「ホントだなぁ~」

 ドアには、簡単なロックがかかっている。

裕太は思い出したように、ポケットに入っていた鍵を押し当てると、

難なく手ごたえを感じた。

「あら、あなた!

 いい鍵を持ってるじゃないのぉ」

さすがにマーサは、驚いた声を出す。

「えっ?」

 これのこと?

それは、サキアさんから貰った鍵だ。

どんなカギでも開けられる…というふれこみの万能の鍵、と聞いている。

「もしかして、あなた…これって…」

そう言いかけて、マーサはハッと口をつぐむ。

 なんだ?

 何かあるのか?

いつの間にか、2人の視線が、マーサに向けられる。

「あっ、いえ、何でもないわ」

急にマーサは、目をそらした。


(なんだろう?)

 裕太は気になるけれど…

「ね、中に入ってもいい?」

いつの間にか、小屋の扉に手をかけると、ジュンペイはマーサを

見上げて、声を張り上げる。

「えっ、いいわよぉ」

「やったぁ~」

 話がそれて、マーサが一瞬ホッとした顔をしたのを、裕太は

気が付いた。

さすがに、この小屋…

裕太やジュンペイのように、人間ならば簡単に入れる大きさなのだが…

巨人であるマーサには、小さすぎて入れない大きさだ。

巨人の鶏なのだから、どれほどの大きさなのか、と裕太は思う。

案外、普通の大きさの鶏なのだろうか?

好奇心を刺激されて、裕太もつられて、思わず中をのぞき込んだ。

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