第225話 ニワトリ小屋もビッグサイズ!

「外だ!」

 いつの間にか、ジュンペイがスルスル~と、流し台から

滑り降りて、あとを追いかけていた。

さすがにマーサと比べると、豆粒のようだけど…

ちょこまかと走り回り、まるでハツカネズミのようだ。

「へぇ~こんなトコ、あるんだぁ」

ダッシュで追いつくと、ピョン!と巨人の女の足に取り付いた。

そこからスルスルと、サルのようによじ登る。

「あっ、なによぉ~くすぐったいわよぉ」

ケラケラと笑うけれど、マーサは決して、振り落としたり、

はねのけたりはしない。

やっぱり、優しい人なのだ…

振り落としたら、ケガをするだけではすまない、とわかって

いるのだろう。

「ここよ!」

 連れて来られたのは、鶏小屋だ。

「ここにはね、ご主人様のお気に入りの鶏がいるのよ」

そう言うと…そっとしゃがんで、地面に手を近づけた。


「ありがとう!」

 元気よく裕太が見上げて言うと、手のひらから地面に、すべり

下りる。

ジュンペイもスルスル~と足を伝って、降りて来る。

「くすぐったいわねぇ」

やはり身をよじりたいのを我慢して、マーサがケラケラと笑う。

 ストンと地面に降り立つと、

「ずいぶん立派な鶏小屋だなぁ」

感心したように、裕太は眺める。

それは、丁度地下で見かけた、ミナトたちの家くらいの大きさの

建物だ。

さすがに素材は、ツルと木を使用した、丈夫そうな小屋だ。

「ここなら、一晩くらいは止まれそう…」

思わず裕太がつぶやいた。


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