第224話 巨人の国の卵って、どんなんだ?

「じゃあ…卵を取って来て」

 いきなりマーサが、裕太に命じる。

「えっ、卵?」

「そう」

「どこに?」

「外に」

「これから行くの?」

「もちろんよ!」

とはいえ…ニワトリ小屋って、どこにあるんだ、と裕太は訳が

わからず、黙ってマーサを見上げる。


「何をやっているの?

 お弁当…いるんでしょ?」

マーサが重ねて言う。

ボクの頭は、ガラス張りか?

全てお見通しってことかぁ~

裕太は「わかりました」と言うと、

「じゃあ、どこにあるのか、教えてください」

ペコリとマーサに、頭を下げた。

「あっ、ホントにいいの?」

 重いのか、すんなりと裕太が受け入れたので、マーサは

気をよくして、裕太を手のひらに乗せると

「こっちよ、こっち!」

そのまま、ドスドスと足音をたてて、台所を後にする。

「鶏なんて、飼っているんですかぁ?」

手の平の上に座り込むと、落とされないようにとじぃっと

して、マーサを見上げる。

「そうよ!ここは何しろ上にあるから…基本、自給自足

 なのよ!」

「へぇ~そうなんだぁ」


 意外だなぁ~と、裕太は思う。

マーサは働き者なのだろう。

何しろ、見た限りでは、マーサ1人しかいない。

(まさか…他に、誰かいるのか?)

それとも、彼女1人で、すべてをやっているのか?

すごい!

(まさか、魔法で?)

マーサ、魔法が使えるの?

(まさか!)

裕太はあれこれと考える。

巨人の鶏って、どのくらいの大きさなのだろう?

とてつもなく、デッカイのかな?

くちばしで突っつかれたら、ひとたまりもないだろうなぁ~

いや、そもそも…

そんな大きな鶏ならば、自分に卵が持てるのだろうか?

 無言で考えていると…

「こっちよ」

連れて行かれたのは、入り口とは別の勝手口の方から出た

所にある、草原のような大きな庭のような所だった。


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