第227話 セレブなニワトリ?

 鶏小屋の中は、電気もついていないのに、やけに明るい。

「わぁ~すごい!

 キンキラキンだぁ~」

ジュンペイの上ずった声が聞こえる。

「何だよぉ?」

どうなってるんだ?と裕太がのぞき込む。

見た感じは、裕太たちにおなじみの鶏よりも、少し大きな

サイズだ。

一回りくらいだろうか?

(これじゃあ、巨人がお腹一杯には、ならないだろうな!)

以外に思う裕太だ。

(丸のみするとか?)

それにしても、一体幾つ採ればいいんだ?

裕太が不思議に思っていると…

「このかごに、一杯入れてちょうだい」

 入り口を、窮屈そうにのぞき込むマーサが、大きなカゴを、

指先でグイグイ押し込んできた。

「これに?」

「これでも足りないくらいだけど、あなたたちには、丁度

 いいんじゃないの?」

 ツルで編まれたカゴは、両手で抱えると、ようやく持てる

くらいの大きさだ。

(これなら、ジュンペイ1人くらい、楽々入れるかもな!)

ふと、裕太は思う。

もっとも、ジュンペイのことだ。

ふざけて入るくらいのこと、しそうだけれど。


「ほら、あなたたち!

 2人で入れて。

 ぐずぐずしてたら、遅くなっちゃうわよ!」

 ずっと見ているわけではなさそうだけど、マーサが声を

張り上げる。

主がいない屋敷で、勝手なことをしているせいなのか?

それよりも…耳がビリビリして、痛い!

(頼むから、大きな声を出さないでよぉ)

まだ耳がキーンとする。

耳に手をあてて、とりあえずカゴをジュンペイの所まで

引っ張る。

 ジュンペイはというと、小屋の真ん中で、座り込んでいた。

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