第228話 金の卵、発見!
鶏とじゃれているジュンペイ…かと思いきや、
正確にいうと、エサ箱をのぞき込んだり、
ニワトリのお尻の下を見たり、
せっせとしゃがみ込んで探しているのだった。
さらには…ニワトリに向かって、何か話しかけているようにも
見える。
(コイツ、鶏と話が出来るの?)
じぃっとジュンペイを見ていると、じきに目が合い、
「ねぇ、そんな所で、突っ立っていないで。
ちょっと、来て、来て!」
裕太に向かって、手招きをした。
「へっ?」
なんだ?
「いいから、いいから」
それに呼応するように、回りにいるニワトリも、コッコッコッコッと
声を上げる。
しかもその大きさたるや…
座り込むジュンペイの背の高さよりも、デッカイ。
「ねぇ、見て!
金の卵だよ!」
スゴイだろ?
まるで自分の手柄のように、裕太に向かって、にぃっと笑う。
先程から、ジュンペイがはしゃぎながら、ぐるぐる回る。
そうして卵を見付けると、
「おーっ」と歓声を上げる。
「ちょっと…見つけるのはいいけど、踏んだりして、割るなよ!」
異常に浮かれるジュンペイのことを、ハラハラしながら、
裕太は見守る。
それにしても…金の卵なんて!
絵本のまんまじゃないか!
(その割りには、でっかいけれど)
金の卵は、金箔のように、キラキラとはしていないけれど。
金色のアルミホイルを、クシャクシャにした感じだ。
だが、こうしてたくさんあると、やはりかなり光っている。
やけにこの部屋が明るいのは、この卵のせいなのだ…
と、裕太は気付いた。
「ねぇ、この卵、割ったら何色なんだろう?」
いきなりジュンペイが、興味津々で聞いて来る。
「知らないよ」と言うけれど、すぐに
「おい、割るなよ!」
さらにダメ押しをする。
「ボクにも、そんなこと、わかんないよ」
割ってみたら、わかるけどね。
案外普通かもよ、と裕太はつぶやいた。
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