第166話 スタートはどこから?

 あはは!

ハヤトとタケシが、顏を見合わせて笑う。

「そうだったなぁ~元気でなぁ」

頭をかいて、手を振る。

「死ぬなよぉ~」とタケシ。

「おい、縁起でもない」

「冗談でも言うなよぉ!」

バシンとハヤトが、タケシをどつく。

それを見て、クスクスとマリさんが笑っている。


「いい人たちねぇ」

 その様子を、対岸で見ていたサキアさんが、にこやかに

言うと

「はい!ボクもそう思います!」

元気よく、裕太がうなづいた。

サキアさんが、丁寧に向こうの人たちに、頭を下げる。

するとマリさんも、サキアさんに向かって、深く頭を下げた。

「ねぇ、ボクたち…もしかして、1階から行かないと、

 いけないの?」

「なんで?」

キョトンとして、聞き返すサキアさんに、

「だってボクたち、いきなりここへ来ちゃったから!」

おもむろに、崖の下を見下ろす。

 ここは何階くらいだろう?

鵠沼の町は、はるか下に、豆粒のように見えている。

あの商店街も、

ドクターバードの研究施設も…

ここからは見えないけれど、どこかにあるのだろう。

まるでオモチャの町を見ているようだ…


「何を言っているの?」

 サキアさんは笑う。

「だって」

ニヤリと笑う。

「あなたたちは、挑戦者じゃないでしょ?」

意味あり気に、そう言った。

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