第165話 いざ、行こう!

 このトオって…一体、何がある、というのだろう?

思わず体を固くしていると、

ビュン!

まっすぐに、その入り口に裕太を乗せたまま、ショーンはとび込んだ。

「よく来たわねぇ~!

 待ってたわよ!」

サキアさんが、大きく手を広げて、目の前に立っていた。

ついに来た!

ふわっとショーンが降り立つと、裕太を岩の上に下ろす。

バサッ!

大きな翼が、フワリと風を巻き上げた。

裕太はショーンから手を離すと、サキアさんの側に近付く。

「あっ、危ない!」

サキアさんの声に、あわてて裕太が振り返る。

大きな竜が今まさに、裕太のいる穴に向けて、飛び込んできた。

 ドワァ~

長い尾が、とぐろを巻いて、奥の方へと突き抜けてくる。

「ゆうたぁ~」

スルンとファルコンの背から、滑り降りると、ジュンペイが

こちらに向かって、駆け寄って来た。

「来たなぁ」

ジュンペイが「やぁ」と言うと、裕太とハイタッチをする。

「2人とも、よく来たわねぇ」

あくまでもニコニコとして、サキアさんはいつもかぶっている、

帽子を脱いだ。


「お~い!」

 洞窟の方から、声が聞こえる。

「あっ、ミナトさんたちだ!」

裕太がすぐに気が付くと、洞窟の縁で、地下のガーディアンたちが、

ズラリと勢ぞろいして、こちらに向かって手を振っている。

「ありがとう~」

裕太が叫ぶと、

「がんばれよぉ」

ミナトが大きく手を振る。

「気をつけろよぉ~!」

「負けるなよぉ~!」

「また、会いに来いよぉ~!」

タケシがそう叫ぶと、

「いや、それはダメだろ?」

すぐにハヤトがタケシを、たしなめた。

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