第343話 本物?ニセモノ?
「私だってね、いきなり襲われるかもしれないでしょ?
だから…私のクローン?コピーかな?が、あちこちにいるのよ」
いきなりそんなSFチックなことを、言っている割りには、
まるで他人事のような感じがする。
それに…何か、ヘン?
「コピー?」
けげんな顔をする裕太に、言い出しっぺの割りには、どこか冷めた
ような顔付で、
「コピーみたいなものかな」
あまり興味なさそうに言う。
サキアさん自身、かなり強者なのに…
コピー?
影武者?
それとも…監視システムの一貫なのか?
何だか急に…ドラマチックになってきた。
まだ、ドクターバードの改造人間の方が、(ゾッとするけれど)
現実的で、信じられるのは…
自分たちが実際に、捕まったせいなのかもしれない。
どっちにしても、異常だ。
こんな…見た目がファンタジックなお菓子の家には、あまりにも
不似合いな話だ。
「襲われるの?」
ビクッとして、裕太が肩を震わせる。
先ほどから、興味津々でカマドをのぞき込んでいたジュンペイが、
「何の話?」
ひょこっと、こちらに向かって、顏を出す。
(おい、カマドの中まで、のぞく気か?
もしも閉じ込められたら、丸焼きだぞ)
本当に、怖いもの知らずだなぁ~
裕太は感心を通り越して、呆れてしまう。
「ところで、カマドの中に、何かあった?」
一応聞いてみる。
「うーん、それがね、何か気になるんだ」
野生のカンが働くのか、ジュンペイはまた、頭を突っ込んでいる。
(大丈夫なのか?まさか…)
チラリとサキアさんを、振り返る。
サキアさんは、そのコスプレが気に入ったのか…
嬉しそうに、黒いマントをヒラヒラとさせている。
パッと見は、おばあさんなのだが…
そうやっていると、まるで子供みたいだ。
思わず裕太がヘラッと笑うと、
「あら、そんなにのぞき込んで…
出られなくなったら、どうするつもりなのかしら?」
一瞬、真っ赤な唇を、にぃ~っと横に引いた。
それを目にした裕太は、思わずあとずさりをした。
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