第342話 あの人の正体は?

「えっ?」

 目の前にいる魔法使いのおばあさん…まさか、あの人なのか?

「えっ?」

裕太は思わず、声を上げる。

「え~っ、サキアさんってば、魔法使いのおばあさんだったの?」

ジュンペイの素っ頓狂な声が響く。

「はぁっ?」

いきなり黒いマントが、ぐぃっとジュンペイに近付くと、顏を

のぞき込む。

「この私が、魔法使いのおばあさんだってぇ!」

冗談じゃないわよ!

まるで、飛びかからんばかりの勢いだった。

おいおい、まさか子供相手に、本気で怒るの?

裕太はあわてて、2人の側に近づいた。

まるで、レフェリーみたいだ。

一触即発の雰囲気で…

「違うの?なんだぁ」

ジュンペイの間延びした声が響くと、サキアさんも彼から離れた。


(あれ?サキアさんって、こんなだったっけ?)

 何だか想像とは、違うなぁ~

裕太はそんな風に感じる。

 ようやくサキアさんが落ち着いたのか、裕太の方を向くと

「さっきは、うちの犬が…迷惑をかけたわねぇ」

静かにそう言う。

「犬?」

もう気づいたの?

「やっぱり?シェーラさんが?」

「そうよ」

わずかに違和感を感じて、サキアさんを見る。

見れば見るほど、そっくりだ。

魔法使いの扮装はしているけれど、先ほど姿を消したあの人に…

「でも…何であんなことを?」

どう考えても、襲われる理由がわからない。

だけどサキアさんは、

「さぁ?」

にぃ~っと笑い、

「あら!ずいぶん、気にするのねぇ」

ケラケラと笑った。

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