第344話 カマドの中には?

「なに?何か…企んでいるの?」

 何だか妙な空気を感じて、裕太はサキアさんを問いつめる。

するとヒョイっと帽子に手をやると、

「さぁ、どうかしら?」

ヘラッと笑う。

(この人…ホントに、サキアさん?)

ふいに、裕太はたじろぐ。

「あっ、言っとくとねぇ~

 あなたたちのスタンプ、GPS機能が付いているから、

 どこに逃げても、私にはわかるからね」

ふふふ…

楽しそうに笑う。


 なんだ?

 自分の手の内を、話してしまうって…どういうこと?

裕太は不審に思う。

彼女は、黒い髪をかきあげると

「ねぇ、あなた…行かなくてもいいの?」

いきなりサキアさんが言う。

「えっ?」

 ジュンペイ?

そう言われれば、カマドをのぞきに行ったっきり、えらく静かだ。


「ジュンペイ?」

 カマドの窓から、中をのぞき込む。

ヘンゼルとグレーテルが入った、というくらいだから、かなり大きな

カマドだ。

まるで…焼き物を焼くくらいの…

 焼く?

裕太はハッとする。

「友だちが何をしているのか、見に行かないとねぇ」

何だか目をギラギラさせて、サキアさんは裕太に近付いて来た…



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