第345話 あなたは、まさか?

「えっ?もしかして、あなたは…シェーラさん?」

 ふいに、裕太が思いついたことを口にする。

ハッとして、振り返った時には、すでに遅かった。

背中をドンと、思い切り強く押された後だった。

「えっ?」

 何をするんだ?

よろり…とよろけた瞬間、お菓子の家がグラリと揺れる。

「なんだ?」

思わず天井を見上げると…屋根が赤い炎に包まれているのに

気が付いた。


「裕太、逃げろ!」

 ショーンとファルコンの姿が、ポッカリとあいた屋根の穴から

現れる。

「どうして?」

ジュンペイを置いて、逃げるの?

そんなことは、出来ないよ…

裕太はためらう。

 そのすきを狙って、シェーラはドンと裕太をはねのけると、

自らカマドの中に飛び込んだ。

「えっ?何をするんだ?ジュンペイが、危ない!」

思わず裕太が、ショーンに向かって叫ぶ。

「何だと?」

ヒュン!

凄まじい勢いで、ファルコンが屋根のすき間からまっすぐに、長い胴体を

揺らして飛び込んで来た。

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