第346話 ジュンペイを探せ!

 ショーンは裕太の前に、トンと降り立つ。

「わかった!

 裕太は、ファルコンの背中に乗れ!」

そう言うが早いか、バン!とカマドを壊そうと、体当たりをする。

だが…さすがにこれは、鋼鉄製なのか、そう簡単には壊れない。

「キミは、安全な場所に逃げろ!

 私はジュンペイを探しに行く」

と言うと、鍵をこじ開けて、中に飛び込む。

「ショーン!」

鋭い声で叫ぶと…裕太はカマドの中をのぞき込んだ。


 黒いカマドの中は、何もなく…

思いの外、大きな空間が広がっている。

ただショーンは、下を向いている。

「なに?」

裕太がショーンの側に立つと、彼は黙って床を指差す。

そこにはポッカリと、大きな穴が口をあけていた。

「おそらく、ここから出たんだ」

「ジュンペイは?」

ショーンに詰め寄ると、彼はただ頭を振る。

 するとファルコンが、フワリと天井に向けて飛び立つ。

「あっ!」

屋根の崩れたすき間から、黒い固まりが、大きな鳥かごを

持って、トオへと向かう姿が小さく見えた。

「あぁっ!」

裕太はあわてて、空を指差す。


「待てっ!」

 裕太は黒い固まりに向かって、大声で叫ぶ。

「おい、ジュンペイを返せ!」

だが…裕太の声は、届かないようだ。

ショーンはスルリと、カマドから飛び出すと

「ファルコン、出番だ!」

空に浮かんでいる竜に向かって、声を上げる。

そうして裕太に向き直ると

「キミの友達を助けに行くぞ!」

まっすぐに、空を見上げた。


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