第347話 竜の背に乗って

 裕太は、ショーンを見上げる。

「トオへ向かうぞ」

ショーンの顏は、これまでに見たことがないくらい、険しい

ものだった。

キッパリと裕太に告げると

「うん!」

裕太も大きな声で、うなづく。

今までは、平和だったけれど…

これからは、戦いなんだ!

そう思うと、裕太は武者震いをする。

ジュンペイは、大丈夫かな?

怖くないかな?

心配するけれど、ジュンペイのことだ…

むしろ面白がっているのかもしれないな、とふと裕太は思う。


「あの…化け犬め!」

 憎々し気に、ショーンが言う。

ショーンは、ボクたちのことを思って、怒ってくれているんだ…

じぃっと見上げる裕太に気が付くと、

「どうした?怖いか?」

ショーンは、こちらを見下ろす。

「ううん」

裕太は思わず、ショーンの背中に手を触れる。

真っ白な翼が、太陽の光を受けて、金色に光る。

 カッコいいなぁ~

そんなショーンの姿を、裕太は思わず見とれる。


「さぁ、早く行くぞ」

 ファルコンは、何も言わないけれど、フワッと舞い降りて来ると、

さっきから裕太が乗るのを待つ姿勢で、長い体を地面に下ろしている。

「時間がない、早く」

ショーンが裕太を持ち上げると、ヒョイとファルコンの背に乗せる。

「おい、しっかりつかまれよ!飛ぶぞ!」

そう叫ぶが早いか、翼をバサッと広げる。

その姿は、まるでフェニックスのようだ。

カッコいいなぁと、再び見ていると、ファルコンの身体もフワッと

宙に浮かびあがった。



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