第156話 さて、次なる一手は?

「それにしては、ずいぶん入れたもんだなぁ」

 ジュンペイが呆れたように言う。

裕太はムッとして、

「違うよ!

 半分、じゅんぺいのだよ!

 重たいとか言って、ボクのリュックに、勝手に突っ込んだくせに!」

よく言うよ、忘れたのか?

裕太が言い返すと、

「そうだっけ?」

ごまかすように、ジュンペイはへらへらと笑った。

「何だか、すごいなぁ~」

いつの間にか、ミナトたちが2人の周りを取り囲んでいる。

「これ、なんだ?」

ずらりと並べてあるうちの、ねずみ花火を指差す。


 えっ、知らないの?

裕太がそれを突っつくと

「花火だよ?」

ほぃっとつまむと、

「花火って、空に打ち上げるヤツだろ?」

どうも反応がおかしい。

「えっ、のろしじゃないのか?」

「バカだなぁ~

 そんなんじゃなくて、火の玉みたいなやつだ」

リーダーとして、ミナトがタケシに説明するのだが、

ちょっと違うのかなぁと、ジュンペイがケラケラ笑う。


 まさかこの世界では、花火はないの?

「え~っ、花火を知らないの?

 つけてみようか?」

ちょっといばったように、ジュンペイが言う。

するとあわてて、ミナトが手を振り

「いや、いい!」

「武器は、むやみに使うもんじゃない」

ミナトの言葉を遮って、ボソリとハヤトが続けた。


 どうも、違う…

「武器じゃないんだけどなぁ」

裕太がつぶやくと

「おおっ」

大人たちがどよめく。

「君たちの世界では、そんな物騒な火薬を、子供が持って

 いるのか?」

目を丸くして、ハヤトが食いつく。

「えっ」

その勢いに、裕太は一瞬、言葉を失い

「まぁ、大人が側にいる時はねぇ」

ちょっと苦しい言い訳だが…

何となく言葉を濁した。

「へぇ~なんかすごい世界だなぁ」

感心したように、タケシが大きく天を振り仰ぐ。

何だか…とんでもない勘違いを、させているのかもしれない…

裕太は困ったように、鼻の頭をこすった。

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