第129話 行きはこちら、帰りはあちら?

「はぁっ?何を言っているの?」

 裕太は呆れた顔をする。

子供だからって…子供だましが通用するわけではないんだぞぉ、

と思う。

「でも…」

キヨラさんは、ためらうようにすると、

「いわゆる…テレパシーみたいなもの?

 ファルコンと波長を合わせているのよ」

淡々とした顔で言う。

「そんなの…出来るわけ、ないだろ?」

ボソッとジュンペイが言うのを、

「ちょっと、黙ってて」

無理やり、ジュンペイを押しやる。

これ以上、ややこしくなると困る…

そう思ったのだ。

「まぁまぁ~」

2人の押し合いを見て、キヨラさんはクスクス笑う。

「2人とも~仲良くしてよぉ」

おっとりとした口調で言うので、誰のせいだ?とジュンペイが

ふて腐れた。


 そんなジュンペイを、横目でチラリと見ると

「あのぉ~帰り道は、この奥なんですか?」

ためしに、裕太が聞いてみる。

「それは、違うわね」

あっさりと、キヨラさんが頭を振ると、

「あそこはね、行くだけ。

 一方通行なのよ」

奇妙なことを言う。

「一方通行?」

キョトンとする裕太に

「そうなのよ」

サラリと言う。

「実はね、あそこは一方通行で、ここに来るだけしか出来なくて、

 帰り道は存在しないのよ」

まさかの信じられないことを言う。

「えっ、どうして?」

思わずジュンペイが、口を挟む。

「ねぇ、試してみたの?」

食い下がって聞くと、キヨラさんは黙ってうなづいた。

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