第128話 それは宿命なのか?

 キヨラさんは、紅く光る瞳を向けて、子供たちを見る。

「私はね、何だかよくわからないのだけど、突然変異

 なんですって。

 この村には、何年かに一度、紅い瞳を持つ子供が生まれる…

 という言い伝えがあるの。

 その子供が生まれたら、竜神の申し子として、育てられるの。

 紅い瞳の子供は、普通の暮らしが許されない。

 そうして生まれて3月たったら、この社に預けられるのよ」

そう言うと…その緋色の瞳が、今度は暗緑色へと変化した。


「え~っ、何だか猫みたい!」

 ジュンペイが楽しそうに、声を張り上げる。

それから遠慮も知らず、しげしげとキヨラさんの目をのぞき込む。

「おまえ、ちょっと!」

コイツ…ホントに礼儀知らずだなぁ~

裕太はあわてて、ジュンペイの腕を引っ張る。

「いいのよ」

キヨラさんは、そんなことを少しも、気にしていないようだ。

「あなたたち…あそこから、来たのね」

そう言うと、緑の瞳を上の方へと向ける。

(あそこって、どこだろう?)

裕太が不思議に思っていると、

「私、たぶん…あなたたちの帰る道を、知っているかも」

まっすぐに、裕太たちにその瞳を向ける。

「えっ、ホントですか?」

思わず裕太が、反応する。

パッと真面目な顔つきになると

「教えてください」

身を乗り出して聞いた。

「それはかまわないけど…

 そう簡単には、いかないようね」

じぃっと裕太とジュンペイを見つめた後、含むような言い方を

する。

「何か問題でも?」

「どうして、知っているの?」

裕太とジュンペイが、重ねて言う。

ふふ…

「気が合うのね」

キヨラはクスッと笑うと

「どうしてって…」

なぜか、ためらうように、言い淀む。

「それは…竜が教えてくれたのよ」

挑むようなまなざしで、裕太を見る。

その瞳は再び、濃い紅に変化していた。

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