第411話 ヤツの弱点は?

「ジュンペイ、目だ!目を狙え!」

 裕太はすかさず、ポケットからパチンコを取り出す。

ジュンペイは黙ってうなづくと…

檻のすき間から、狙いを定める。

「はっ?なんだ、そんなオモチャ!

 そんなもので、私を倒せるとでも、思っているのか?」

あざけるような声が響く。

ジュンペイはしっかりと、相手の姿をとらえると、

「子供をバカにするなよぉ~!」

目の前にある石を、ガツッとつかんで、ゴムに引っかけると、

思いきり放つ。

ヒュン!

凄まじい勢いで、石が飛ぶ。

その瞬間、フッと敵の姿が消える。


「なに?」

「消えた!」

 やはり…あのオジサンは、魔法使いなのか?

すると、どこかから、声が聞こえる。

《目をつむれ!》

「へっ?」

裕太の声が、思わずひっくり返る。

「なに?なんだよ!」

ジュンペイは、いきなり裕太が変な声を出すので、不機嫌な

顏になる。

「失敗したからって…やなヤツだな!」

だが裕太は、かまっている余裕がない。

《いいか?耳を澄ませるんだ。気配を感じろ》

ファルコンの声だ。

ファルコン…生きているんだ!

裕太は目を開けたいのを我慢して、耳に集中する。

フッと空気が変わり、何かがすぐ近くにいるのを感じた。

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