第233話 いよいよ、行くぞ!

「バカだなぁ~裕太は!」

 急に大人びた口調で、ジュンペイは裕太を、憐れむ目で見る。

「だって巨人は、マーサの雇い主だろ?

 裏切るわけが、ないじゃないかぁ」

考えてもみろよ、と妙に自信満々でジュンペイが言う。

「そうかなぁ~」

ジュンペイはしたり顔をして、裕太と向き合う。

自分の考えが、甘ちゃんなのかなぁ~と、裕太は何だか

面白くない。

「とにかく早く、中に入ろうぜ!」

急に元気になったジュンペイが、裕太の腕を引っ張る。

だが、どうやら鍵がかかっているようだ。

「仕方がないなぁ~」

 裕太はポケットに、手を突っ込む。

例のアンティークの鍵を、鍵穴に押し当てると、難なく

扉が開いた。


「で、どこから回るの?」

 裕太は上を見上げたまま、ジュンペイに声をかける。

何度見ても…圧倒される大きさだ。

ためらうように、入り口の所で立ちすくんだ。

「それはもちろん!

 上へ行くのさ!」

そんなの、当然だろ?

ジュンペイは、たじろぐ裕太の脇をすり抜けて、迷うことなく

スタスタと歩き始めた。

(上かぁ~)

 再びドアを押し開いて入って行くと、目の前にそびえるフロアを

見据える。

「手分けして探す?」

裕太が聞くと、

「それは、好きにすればいいんじゃない?」

チラリとこちらを見ると、さして気にならない様子で、あっさりと

ジュンペイが言う。

それから上を見上げると

「だけどまぁ~とにかく上へ、行ってみよう」

まっすぐ上を向いたまま、ジュンペイはそう付け加える。

だが、階段を目にすると、案外それは…一筋縄ではいかない、と

気が付いた。

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