第234話 巨人の家は、ビッグサイズ?

「えっ!」

 目の前の階段を見て、裕太が固まる。

「これが…階段?」

すっかり頭から、抜け落ちていたけれど…

そもそもここは、巨人の家なのだ。

巨人の家の階段ならば、普通の人間のサイズのはずがない。

だが、それは予想をはるかに上回っていた。

さすがのジュンペイも、いざ階段を目にすると

「う~ん」と腕組みをする。

「これって…無理なんじゃない?」

思わず裕太がそう言うと、負けず嫌いのジュンペイは

「いや」

キッパリとそう言うと、

「正攻法がダメならば、出来る方法で行くまでさ」

リュックを下に下ろし、中を物色し始めた。

「おい、何をする気なんだ?」

まさか…物騒なこと、考えていないよな?

何か、あるというのか?

でも…そんなことをしても、ムダだろ?

裕太はそう思うけれども、やはり気になって、ジュンペイの

手元をのぞき込む。

「あ~あ」

ジュンペイは思わず、ため息をつく。

「こんな時、ショーンか、ファルコンがいればなぁ」

なんでいないんだよ、とブツクサ文句を言う。


「あった!」

 ゴソゴソとリュックの中をあさっていたジュンペイが、

ようやく声を上げる。

「何が?」

そんな都合よく…便利なものが、入っているものか?

ドラえもんのポケットでも、あるまいし…

そう思っていると

「やっぱり、こういう時は、ロープだよな」

そう言うと、おもむろに…縄のようなものを、つかみ出した。

(もしかして?)

裕太は何だか、嫌な予感がする。

ジュンペイは、ニヤリと笑うと

「そう!そのまさかだよ!」

そう言うと…ロープの先に、丸い輪っかを作ると、思い切り

手をぐるぐると回した。

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