第187話 さて、どこへ行こう?

 ギャア!

思わずジュンペイが、悲鳴を上げる。

「なんだよ、一体!

 びっくりしたなぁ~」

ジュンペイは、思い切りふてくされた顔つきをする。

だがその合間にも、ポンポンとまるで飛び火していくように、

次々と灯りが、まるで生き物のように、自動的に灯っていく。

(電気?いや、違うなぁ)

ジジジ…

独特の燃えるにおいがした。


「ここは、どこだ?」

 警戒するように、裕太は辺りを見回す。

まるで迷路のように…真っ暗な廊下に、いくつもドアが並んでいる。

(この場合は、どうするんだ?)

裕太は考える。

ゲームの場合は、いちいち部屋をのぞくのではないのか?

「なぁ~これは、中をやっぱり見るの?」

面倒だなぁ~

ジュンペイは、こういうチマチマした作業は、嫌いだ。

行くなら、一気に!

ばぁ~と飛び出したい!

おそるおそる裕太が聞くと、

「いや」

短く答えた。

「サキアさんが、言ってただろ?

 たぶん上の方に…目指す場所があるはずだ」

そう言った時…

いきなりシュッ!と何かの影が、目の前を走り去った。


「ちょっとぉ!

 危ないじゃあないかぁ」

いつもの調子で、ジュンペイが大きな声で叫ぶ。

「おい!」

声を殺して、裕太はジュンペイを引っ張る。

「気をつけろよ!

 もしかしたら…敵かもしれない」

 ここは、ゲームの中のダンジョンのような、実体もわからない、

得体のしれない場所だ。

いちいち相手をしていたら、自分の身がもたない。

さらには、上の階までたどり着くまでに、何か月もかかって

しまうだろう。

それだけなら、まだいい。

もしかしたら…殺られてしまう、という可能性だってあるはずだ。


「背中に乗れ」

 いきなり背後で、ショーンが2人に声をかけた。

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