第188話 竜の背に乗って…

「背中に?誰の?」

 まさかショーンの背に、裕太とジュンペイと、2人も

乗せることが出来るのか?

(無理だろ?)

キョトンとしていると、

「おいおい、何か勘違いしていないか?

 違うよ、ファルコンのだよ」

慌てるショーンを見て、ジュンペイはケラケラと笑った。

(あっ、いつものジュンペイだ)

こんな時でも、ちっともペースを崩さないなんて…

ホント、見上げた根性だ。

むしろ裕太は、羨ましく感じる。

「そっかぁ~

 つまり、時短だな」

1人、ジュンペイは、納得したようにつぶやく。

「お先に!」

ひょいっと、何のためらいもなく、竜の長い胴体にまたがる。

「乗るのはいいけど、つかまりにくいんだよなぁ」

ブツブツと文句を言う。

乗り心地のこと?

贅沢なヤツだなぁ~

見上げていると、

「なら、歩くか?」

裕太もその後ろにまたがると、ジュンペイに言う。

「いや、それはいい」

ニヤリと笑うと、ベタッと身体を胴体にくっつけて、前傾姿勢になる。

「じゃあ、出発進行~」

右手を振り上げた。


 ファルコンの目が、サーチライトのように、光を発すると、

フワリ…と浮かんだ。

道しるべの石も、裕太の手から離れると、こちらも浮かび上がる。

「案内してくれるそうだ」

ショーンが、裕太に向かって言う。

「頼むよ、道しるべの石さん!」

裕太は軽く、手を合わせる。

彼の声に反応したのか…

石はうっすらと、オレンジに色を浮かべると、前に進んだ。

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