第180話 呪文?おまじない?魔法?

「浮くの?」

「話が出来るの?」

「動くの?」

「それって、ロボット?」

 裕太とジュンペイが立て続けに、サキアさんを質問攻めにする。

 まぁまぁまぁ~

 彼女は嬉しそうに笑う。

「スィッチじゃないわ」

「話が通じる場合もあるわ」

「動く…というよりも、飛ぶわ」

「ロボットじゃないから、なんだろう?」

ニコニコ笑いながらも、それでもいちいち答える。

「え~っ、じゃあなに?あれ!」

「生きているの?」

2人はすっかり、この光を放つ石に夢中だ。


 目もないし、鼻もない。

 口もないし、手足もない。

 でも、飛ぶ?

 鳥でもないし、ドローンでもない。

 動物?

 そもそも生き物?

 ただの石?

 隕石?

 鉱物?

 宇宙からの落下物?

「ねぇ、あれって、なに?」

ついに裕太は、サキアさんの傍らで控えてるミスターに

声をかけた。

「あれって…」

ミスターは困ったように、サキアさんを見る。

「私のボディーガードを、困らせないでちょうだい」

そう言う割りには、とても愉快そうだ。

「この人…いつもポーカーフェイスで、表情1つ変えないの。

 アンドロイドみたいな彼が…

 こんな顔をするなんて、レアだわ!」

逆に喜んでいるようだ。

「サキア様!」

からかうのは、やめてください、と彼がしかめっ面になる。


「そうねぇ~意思を持つ石、というのかしらね。

 それとも案内人?

 しゃべらないけど、ガイドとでもいうのかしらねぇ」

うまい言葉を思い付かないようだ。

「まぁ、道しるべだけにねぇ」

そう言うと、

「でも最近は…めっきり見かけなくなったわ。

 よく見つけたものねぇ」

それ、大切にしなさいね、とサキアさんが2人の肩を、

ポンと叩いた。

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