第181話 キミは1人じゃない

「使い方は、簡単よ!

 使う人が、息を吹きかけて、行きたい場所を言うと…

 案内してくれるわ」

 その不思議な石を見つめて、サキアさんが言う。

本当に、それだけで働くの?

裕太は疑う。


 丁度その時、その石が裕太を確認するように、スーッと

裕太の前までやって来ると、ピタリと止まる。

その様子は、まるで石のように、裕太の指示を待っている

ように見えた。

「へぇ~賢いんだなぁ」

裕太は目を丸くする。

「さてと!私たちもそろそろ…戻らなくては!」

いきなり宣言するようにそう言うと、サキアさんは帽子を

ぐっと目深にかぶり直した。


「えっ、行ってしまうの?」

 てっきり一緒に行くと、裕太は思っていたので、かなり

ガッカリする。

「そんな顔をしないの!

 あなたには…もうすでに、仲間がたくさんいるじゃない!」

すがるように見る裕太に、サキアさんはにこやかにそう言うと…

ジュンペイや、ショーン、ファルコンを順繰りに見た。

「それに、あの素敵な石!

 あなたが持ってるでしょ!」

そう言うと…そぅっと道しるべの石に、手を触れる。

それから何か、小声でつぶやいた。

(なに?呪文?おまじない?魔法?)

何を言っているのか、裕太には、うまく聞き取れなかった。

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