第182話 新たな道具
「悪いけど、私も忙しいのよ。
だから、キミたちにはついて行けないけど…ずっと見守って
いるからね」
ポン!とサキアさんは、裕太の肩を叩いた。
クルリ…とこちらを振り向くと、傍らのボディーガードに向かって、
うなづく。
「さぁ、ミスター!行くわよ!」と声をかける。
「はい」
片時も姿勢を崩すことなく、彼は控えている。
「ずいぶんサボったからね、仕事がまた山積みよ!」
「はい」
「ちゃんと、働いてね!」
その言葉に、チラリと彼はサキアさんを見ると
「もちろん、わかっています」
誰のせいなんだ、という顔をしている。
まるで忠実な番人のように、ミスターはサキアさんの後ろで、
影のように付き添う。
「あっ、そうだ!
最後に、可愛いプレゼントがあるわ」
思いだしたように、サキアさんは裕太たちを見る。
そうしてミスターに合図した。
ミスターは、無言で裕太に近付くと、何やら差し出す。
サキアさんは、指をパチンと鳴らすと、
「私はあなたたちに、魔法のカードは上げないわ。
だけどこのカギはきっと、それに勝るとも劣らない、
最強の道具になると信じているわ」
裕太が手を開くと…それは妙に古めかしいカギだった。
「もしも行き止まりに突き当たったら、このカギを使いなさい。
きっと、最善の道を示してくれるわ」
そう言うと、すぃっと手を高く掲げた。
フッと鍵が白く輝く。
ずいぶん変わった形の鍵だ。
パッと見は、これって本当に使えるのか、というような
不思議な形をしていた。
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