第183話 それは魔法の鍵?

 ヘコミがある…というよりは、複雑な模様が刻んである。

そうしてぐっと握り締めているうちに、何だかその手に

力がみなぎってくるのを、裕太は感じていた。

(これは…魔法の鍵?)

何か仕掛けがあるのかも、と思う。

ジュンペイは、たったひと言。

「えっ、いいなぁ~」

 裕太の手の平を、うらやましそうに、じぃっと見ていた。

「あなたたちが、無事に目指す場所へ行って、家に帰れます

ように!」

そうサキアさんが、ひと声叫ぶと、ぱぁ~っと鍵がまぶしい

くらいの光りを放った。

「うわぁ~、なんだ?」

ジュンペイがそう叫ぶと…

いつの間にか、周りの景色が変わっていた。


「なんだ?」

 目の前に、でっかい大きな扉が現れた。

「ひゃぁ~、いつの間に!」

ジュンペイが、すっとんきょうな声をあげる。

 あの不思議な石は、裕太の手のひらから離れ、扉の前で

ピタリと止まり、2人が来るのを待っている。

「えっ?

 やっぱりここに、行けってこと?」

振り向くと、すでにサキアさんの姿が消えていた。

もちろんボディーガードの姿も…

裕太とジュンペイ、ショーンにファルコンが、その扉の前で

たたずんでいる。

「これって、使えるの?」

裕太は困ったように、手の中の鍵を見つめる。

「もしかして…どこにでも出入り出来る、万能な鍵だったりして!」

裕太が冗談まじりで、そう言うと

「案外、そうかも!」

ジュンペイも嬉しそうに、うなづく。

あの石も不思議だけど、このカギの力もまた、未知数だ…

と感じた。

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