第184話 どこでもドアと万能の鍵

「ミスターは、とんでもないものを持っているなぁ」

 もうすでに、サキアさんたちの姿が消えた方向を見ると、

やや羨ましそうに、ジュンペイがこぼす。

「でもまぁ、これはサキアさんの物だからなぁ~

 だけどすごいぞ!

 これがあれば、どんなドアだって、開けてしまえるんじゃあ

 ないのか?」

あらたに手に入れたアイテムに、やや興奮気味に目をキラキラ

させて、ジュンペイは目の前の扉を見た。

「それじゃあ もちろん、この扉もあくよね?」

期待のこもった眼で、前方のデッカイ扉

(裕太たちよりも、かなりでかい、巨人でも通るのか、という

 くらい大きな扉)を目の前にすると…

手の中の鍵を、ギュッと握りしめる。

「そうなんじゃあないのかなぁ」

そう言いつつも…

しまった!

サキアさんがいなくなる前に、もっとよく聞いておけばよかった!

裕太は少し後悔した。


「それなら、試しに開けようぜ!」

 さっきから、触りたくてウズウズしているジュンペイは…

せがむようにして、裕太をせかす。

「早く、早く」

「うん、わかってるよぉ。

 わかってるけど…

 だけど、ちょっとだけ、待ってくれよぉ」


 何しろこのトオに挑むのは、初めてなのだ。

チラリと噂には聞いたけれど、さすがの裕太も、いざとなると

どきどきしてきた。

「大丈夫だってば!

 さっき、サキアさんも言ってただろ?

 ボクたちには、最強の仲間がいるって!」

ショーンとファルコンを見比べる。

その力は、まだ未知数だ。

「最強の、は言ってない」

だが裕太は冷静に、言い直す。

「細かいことは、言うなよぉ」

とても待ちきれない、という様子で、ジュンペイはジタバタと

足を動かす。

「ほら、早く!

 日が暮れてしまうよぉ」

あまりにもうるさいので、裕太はごくりと唾を呑み込むと…

「わかった」とうなづいた。

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