第383話 何がある?

「まだ、何か…隠れているかもしれないぞ」

 裕太は自分を鼓舞するように、気合いを入れる。

「怖いのか?」

ヘラッと、ジュンペイはからかうように言う。

「怖いもんか!」

そう言いながらも、足が前に進まない。

「入り口は…こっちだ!」

 ショーンはいつもと変わらない表情で、裕太の方を向いて、奥を

指し示す。


 ゴツゴツした岩の奥にあるようだ。

(何だかまるで、お化け屋敷に入るみたいだ)

裕太はおそるおそる、前を見る。

ドキドキとワクワクの入り混じった感じだ。

 でも、何があるのかわからないので…

「ちょっと、待って」

そうひと声かけると、懐中電灯をギュッと握り締める。

 それを目にすると、ジュンペイも思い出したように、リュックサック

の中から取り出す。

ショーンもファルコンも、そんな二人をせかすこともなく、じぃっと

その様を見守っている。

「ね、二人も…ついて来て、くれるんだよね?」

急に気になって、裕太が声をかける。

「もちろんだ」

ショーンははっきりとした口調で、裕太の方を見た。


 ここはまだ、トオの内部には入っていない、ということなのか?

まだ何も見えてこないし、誰も出ては来ない。

やけにシンとしているので、本当にここに何かあるのか、と…

裕太は心の中で、そう思っていた。


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