第382話 ここは、どこ?

 ここは、非常用の連絡通路につながるポートだ。

必要とあらば…ドローンやロボットなどが、どこからか来て、ここから

飛び立ち、再びここに飛んで来る…という仕組みになっている。

必要物資や、連絡用のトリーなど、案外何か所か、こういうポートを

利用しているようだ。

もっとも、裕太たちがいるこのポート、中からは見えないため、どうやって

つながっているのかは、極秘事項となっている。

ここは、トオのテッペンだ…とファルコンが言っていたのだが、上を見上げると、

ローマ時代の旧跡のような建物が、チラリと見えている。


「ここ…屋上じゃあないんだね」

ボソッと裕太が言うと

「あぁ、そこは、儀式とか、ヘリポートのようになっているみたいだ」

ショーンが答える。

「そうなんだ」

裕太は静かにうなづいた。

 中からは、ここが見えないように、ここからは中の様子を、うかがい知る

ことが出来ない。

ショーンと話し込んでいる裕太を置いて、先にすべり降りたジュンペイが、

トトト…とその岩だなの所を走り回っている。

 相変わらず、元気なヤツだ…

裕太は思わず、苦笑いだ。


「ここは、何の部屋なんだろう?」

 ぶつぶつ言いながら、裕太は壁をたたいたり、のぞき込んだりしている。

ジュンペイはサッサと中に入りたそうにしている。

「気を付けろよ!

 まだ何か、仕掛けがあるかもしれないから!」

裕太はジュンペイに向かって、そう叫んだ。

「ここでやられたら…元も子もないからな!」

 中に入る直前に、モンスターにヤラれないでくれ!

裕太はひたすら、案じている。

中の様子は、まるでわからないけれど…

何一つ、物音が聞こえてこないため、かえって不気味に感じる。

裕太たちの声が、静寂なこの場所を支配していた。

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