第381話 トオの中…

 先回りをして、裕太たちを待ちかまえていたのか…

ショーンはまるで彫像のように、すっくと立ってこちらを向いていた。

その近くに、ファルコンが慎重に降りて行くと、器用に身体を

くねらせて、スッと入り口の穴に、身体をすべり込ませる。

フワリとショーンが舞い上がると、ピッタリとその側に降り立つ。

「ショーン!」

裕太とジュンペイは、ショーンに飛び付くような勢いで、ファルコンから

滑り降りる。

「ねぇ、何かわかった?」

ショーンのことだから、きっとその辺は抜かりなく、偵察をしたのでは

ないか、と二人は期待に目を輝かせる。

「ん…まぁ、そうだなぁ」

 だが、何となく、ショーンの歯切れが悪い。

「ねぇ、何かあった?」

さらに、ジュンペイが重ねて聞く。


 このトオには、幾つか外につながる通路があるようだ。

だが、それは…うまく隠されていて、そう簡単には見つけられない。

例えば、建物の継ぎ目のような所とか、エリアとエリアの境目とか…

注意深く観察すると、何か見つけられるのかもしれない。

それを知っているのは、サキアさんと数人の人たちだけ。

もちろん、裕太たちには、思い及びもしないのだが…

もしかしたら、ショーンが何か、知っている可能性がある。

裕太はその可能性を、期待していたのだ。


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