第37話 助けて、ミスター!絶体絶命のピンチ!
「あっ、オジサン!
部屋を間違えているよ!」
ふいに現れた予想外の訪問者に、ジュンペイの鋭い声が響く。
最初に入って来た男が、立ち止まると、
「いや、間違えてなどいないさ!
君たち…サキアの仲間なんだろう?」
やや威圧的な声で、ジュンペイの前に立ちはだかる。
「どういうこと?」
ジュンペイは負けじと、じっと男たちをにらみつける。
その側で、ジュンペイが余計なことを口走って、男たちを怒らせないか…
と、裕太はハラハラとして見守っている。
「どういうことも、こういうこともないだろ?
お前たち…サキアの隠し子か、何かか?」
そうだと、好都合なんだがなぁ…
男たちの中でも、若い男がからかうように、子供たちに向かって
声を放つ。
下卑た笑いを浮かべて、ポンポンとジュンペイの頭をたたく。
ジュンペイはイヤそうに、身体をよじる。
「何を言っているんだ?
ボクたちは、そんなんじゃあない」
パン!
ジュンペイは男の手を、払いのける。
「ほぉ~」
子供のくせに、度胸があるんだなぁと、年かさの男が、ジュンペイの顔を
まじまじと見つめた。
「まぁ…そんなことは、どうでもいい。
悪いが、一緒に来てもらおうか」
ニコリとしていた顔を、すぐに鋭い目付きに変えて、ピシリと
ジュンペイに向かって宣言した。
逃げる間もなく、仲間と見られる男たちが、2人を取り押さえる。
「あっ」
突然の出来事に、裕太も逃げることが出来ない。
「何をするんだ?
こんなことをしても、いいと思っているのかぁ」
ジタバタと威勢よく、ジュンペイは足を踏み鳴らす。
「ふん、ずいぶん、威勢のいいガキだ」
目付きの悪い男が、ジロリとジュンペイを見ると…
ひょいっと胴体に手を回し、逆さまに吊り上げた。
「やめろぉ~このドロボー!」
適当な言葉が思いつかなかったのか、身体を宙づりにされたまま、
ジュンペイは声を張り上げる。
「残念だな、
誰も、助けには来ないよ」
ヘヘッと笑うと、もう1人の男が、ジュンペイの口にガムテープを
貼り付ける。
さらに裕太にも近付いて来た。
「ボクたち…ただの小学生だよ。
ボクたちを捕まえても、何にもいいことなんて、ないよ」
ジリジリと後ずさりをして、ガタガタ震えながら、裕太はギュッと
こぶしを握り締めている。
「悪いなぁ~手荒な真似は、したくはないんだ」
男はそう言うと、スポッと紙袋を裕太にかぶせて、同じように
ひょいっと抱きかかえた。
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