第126話 君の名は?

「ここって、なに?

 お姉さんってば、ナニモノ?」

 ぶしつけなくらいに、ジロジロと見上げるジュンペイに、

「こらっ!」

すぐにスズカさんが、それを遮る。

だけどその女性は、さして気にする様子もなく

「何者?

 あっ、そうかぁ~

 ワタシ、まだ名乗っていなかったわね」

その人は「ごめんなさいねぇ」と頭を下げる。

それにしても、何ときれいなたたずまいなのだろう…


「あっ、そんな!滅相もない」

ミナトがあわてて、深く頭を垂れた。

 そうしてジュンペイたちの前に立つ。

「キチンと話していなかった、ボクが悪かった」

ミナトは男らしく、裕太たちに謝る。

「この方は…竜神様にお仕えする、キヨラ様だ」

いつもの口調とは違い、ミナトはやや緊張しているようだ。

 名前を聞いた割には、ジュンペイは

「ふ~ん」と言うだけで、あまりピンとはこないようだ。

「その…なんでそんなお姉さんが、ボクたちと話をするの?」

思うがままに、ジュンペイがそう聞く。

「ねぇ、ここはどこ?」

「なんで、こんなトコにいるの?」

「1人でいて、寂しくはないの?」

さらに立て続けに聞く。

「ストーップ!」

まだ口を開くので、さすがにこれは…馴れ馴れし過ぎるだろ、と

裕太はあわてて、ジュンペイを突っついた。


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